ELEANOR MARX
エリノア・マルクス
1855年1月16日、イギリス、ロンドンで、マルクス家の6人目の末娘として生まれる。
長女ジェニー、次女ラウラとエリノア以外の子どもたちは幼くして亡くなっている。ジェニー・ジュリア・エリノアと名付けられ、若い頃から「トゥッシー」のあだ名で呼ばれた。子どもの頃から政治に深い関心を抱き、10代から父の秘書として働く。労働者や女性の権利のための戦いに人生を捧げる一方で、父の遺作、そして「資本論」の英語版の刊行を手掛けた。また、幼い頃からウィリアム・シェイクスピアを始めとする文学や演劇への関心が深く、後に文学作品や演劇作品の翻訳も手掛けている。ギュスターヴ・フローベールの「ボヴァリー夫人」やヘンリック・イプセンの戯曲「海の夫人」や「民衆の敵」などを最初に英訳し、「人形の家」のノラ役を始め、その戯曲を俳優として演じることもあった。きわめて強い政治的信条を持ちながら、感情面では非常にもろかったエリノアは、劇作家・俳優で確固たる信念をもった社会主義者だったエドワード・エイヴリングとの有害な関係に負けてしまった。
エリノアの人生は、現代において女性であることがはらむ多くの矛盾や、女性解放の過程の複雑さを示している。ブルジョア階級、労働者階級を問わず、家庭内で女性が強いられる服従から、児童労働の残酷さに至るまで、いくつかの問題の緊急性を初めて明示したのが、エリノアと彼女の同志たちだった。1898年3月31日死去。享年43歳。
『エリノア・マルクス 1855-1898 ある社会主義者の悲劇』【オンデマンド版】
著者:都築忠七
発行:みすず書房(1984年初版発行)